詳細は後述することにして、断熱と気密についての関係は比例関係にあると考えるとわかりやすい。
 断熱性能を上げれば上げるほど、それにつれて気密性能を向上させるべきだと覚えておけばよい。
 断熱と気密が悪い一般的な家では、冬に室内温度を20数℃にしても、表面温度を室内温度と同レベルに保つことは難しく、場所や部位によっては10数℃も差が出てしまうこともある。
 表面温度が室温より低いと、冷やされた空気が低い床側に潜り込み、室内の高低で温度差を生じ、不快な気流を感じてしまう。
 当初から高断熱・高気密にすることが、温度ムラの少ない快適な室内空間をつくる入口になるのは間違いない。

 さて、軽井沢の話に戻るが、ここ数年で建築された別荘の多くは温熱環境的配慮に欠けている。
 そもそも避暑地として栄えてきたため、夏のことだけに特化すれば良かったのだ。
 森に囲まれた別荘地に立つ建築物は、そもそも木立に日射は遮られ、日射により室内に太陽光が差し込み、熱がこもることもない。
 もともと断熱気密性能に乏しい建物は、当然外気温に左右され上がったり下がったりを繰り返すため、建物の外気温と室温は、時間差があるものの連動して同様の曲線を描くため、室内にいても夏の軽井沢の気候を堪能できることになり、この地で温熱環境技術が浸透しなかった。

 今時、これで良いのかと思うのだが。

2019/11/21(木) 17:00 清水康弘より PERMALINK COM(0)