軽井沢の別荘群の中には、デザイン性に優れた名建築も数多く存在する。
 しかし残念なことに、温熱環境に言及すると相当レベルが低い。
 日常的に人が暮らさない別荘は、朽ち果てるのが早い。理由は漏気や熱橋などの原因で起こる結露が主因と考えられる。

 この話題については後に書くことにして、最近になり認知度が向上してきたパッシブデザインやパッシブハウスについて考える。
 パッシブデザインとは、建物の在り方に工夫して建物周辺の自然エネルギー(太陽、風、地熱)を最大限に活用・調整して建物内部の快適性と省エネルギーに寄与する建築設計手法のことを言い、断熱性能、日射遮蔽、日射熱の利用、自然風利、昼光利用といった5つの設計項目について最適解を導き出すことが求められる。

 一方パッシブハウスという名称で注目されたのは、欧州型の高断熱住宅をモデルに普及してきたものである。
 パッシブデザインは断熱性能と地域性や周辺環境をバランスよく工夫した家づくり、パッシブハウスは断熱性能に特化した家づくりとイメージしておくとわかりやすい。

 また両者の共通点としては、燃費性能や省エネルギー性を目標にしていることである。
 ただ気を付けなくてはならないのは設計事務所によっては技術水準や志向性がバラバラなことだ。

 シミュレーションや計算を行い、理科的なアプローチを駆使する少数派の設計者もいるが、何となくイメージだけで捉えたがる設計者が多く、本来のパッシブデザイン設計から齟齬が生じる場合が多い。

 見た目は良いが、耐久性が悪く、燃費が悪い別荘。そろそろ卒業したいものだ。


2019/11/11(月) 17:12 清水康弘より PERMALINK COM(0)